50MHz バンドパスフィルタ

2012.4.12作成
目的
50MHzバンドパスフィルタ50MHzのリグをメンテしましたが、50MHz以下の周波数のスプリアスが問題になりました。
水晶発振回路にVFO発振をミックスし、増幅するというシンプルな構成ですが、これらの原発振もしくは数倍の成分がそれぞれ絡んでおり、非常に気になります。
原因を絶つべく試行錯誤を繰り返しましたが、完全解決に至りません。
当時のスプリアス規格では問題ないのですが、少しでもクリーンな電波にするためには処置が必要です。ハイパスフィルタでも構わないのですが、50MHzの少し上にもスプリアスがあるので、バンドパスフィルタを製作し挿入することにしました。
回路は、前回の7MHzフィルタ同様に下記文献を参考にしました。50MHzの定数は無いので、計算し直し適用しました。
   CQ誌1989年2月号 技術展望 「HFバンドパスフィルタ」
   (原文:QST, Sept, 1988、 原著者:K4VX Lew Gordon、 抄訳:JR1TRE・JE1HPT)
バンドパスフィルタの仕様
フィルタ回路コイルはトロイダルコアT-50-12とT-37-12で、手持ちのUEW線を巻きました。コンデンサは200V耐圧のセラミックコンデンサです。
ハイパワーを入力するつもりはないので、ガラスエポキシ基板の銅ハクを剥ぎ取ってパターンを作り、アルミケース(タカチMB-1)に納めました。
特性評価のため、コイルとコンデンサをカット&トライしています。ハンダ付けの跡が広がっていますが、自分で使うものなので気にしません。
特性評価
特性シミュレーションに比べ、フラットな領域が少なめです。50MHzでは浮遊容量が無視出来ないので、補正すれば改善されるでしょう。
50-52MHzのロスは0.6dB程度で、実用になります。
帯域外ロスは多くありませんが、-50dB程度のスプリアスをさらに低減出来れば良いと考えて製作したものなので、これで十分です。
リグ接続後の評価
フィルタ通過前フィルタ通過後TR-1200を用いて効果を確認します。左がフィルタ挿入前、右が挿入後です。挿入後にリグを少し再調整しています。
 X:10MHz/div、Y:10dB/div、
 F=51.0MHz
50MHz以下で多数のスプリアスが観察されますが、フィルタを通過させると40MHz以下の成分はほとんど気になりません。
終端型パワー計でパワーを確認すると、フィルタを挿入すると1.5Wから1.3Wまで表示が下がります。パワーロスが大きいように見えますが、本物の50MHzのロスはわずかです。スプリアスの反射波が、見かけ上パワーメータを振らせているようです。
古いリグのスプリアス除去に活躍してくれそうです。